■一般社団法人とは
「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づいて設立された社団法人であって,設立の登記をすることによって成立する法人である。
■行なうことができる事業
特に制限はない。
そのため,行なうことができる事業については,公益的な事業はもちろん、町内会・同窓会・サークルなどのように,構成員に共有する利益を図ることを目的とする事業(共益的な事業)を行なうこともできるし,あるいは,収益的な事業を行なうこともできる。
一般社団法人が収益事業を行い,その利益を法人の活動経費等に充てることは,差し支えない。
ただし,株式会社のように,営利(剰余金の分配)を目的とした法人ではないため,定款の定めをもってしても,社員や設立者に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を付与することはできない。
■設立手続
一般社団法人を設立する際の手続の流れは次のとおり。
なお,1及び2は,設立時社員(法人成立後最初の社員となる者2名以上)が行なう。
また,1の定款認証は,電子定款によることができる。
1.定款を作成し,公証人の認証を受ける。
2.設立時理事(設立時監事や設立時会計監査人を置く場合は,これらの者も)の選任を行なう。
3.設立時理事(設立時監事がある場合はその者も)が,設立手続の調査を行なう。
4.設立時(代表)理事が法定の期限内に主たる事務所の所在地を管轄する法務局に設立の登記の申請を行なう。
■機関
一般社団法人には,社員総会のほか,少なくとも1人は業務執行機関としての理事を置かなければならない。
また,それ以外の機関として,定款の定めによって,理事会,監事または会計監査人を置くことができる。
理事会を設置する場合と会計監査人を設置する場合には,監事を置かなければならない。
大規模一般社団法人(貸借対照表の負債の合計額が200億円以上の一般社団法人)は,会計監査人を置かなければならない。
よって,一般社団法人の機関設計は次の5通りとなる。
A.社員総会+理事
B.社員総会+理事+監事
C.社員総会+理事+監事+会計監査人
D.社員総会+理事+理事会+監事
E.社員総会+理事+理事会+監事+会計監査人
■法人税
1.原則
一般社団法人は,法人税法上,普通法人に該当するので,株式会社と同様に,法人税 の課税の対象となる。
2.例外
「非営利性が徹底された法人」,「共益的活動を目的とする法人」については,収益事業のみに課税される。
A. 「非営利性が徹底された法人」の要件(下記のすべての要件を満たす必要がある)
ア.定款に剰余金の分配を行なわない旨の定めがあること
イ.定款に解散時の残余財産が国または地方公共団体,あるいは公益社団法人,公益財団法人等 に帰属する旨の定めがあること
ウ.上記アまたはイの定款等の定めに違反したことがないこと
エ.理事およびその親族等である理事の合計数が理事総数の3分の1以下であること
B.「共益的活動を目的とする法人」の要件(下記のすべての要件を満たす必要がある)
ア.会員相互の支援,交流,連絡,その他会員に共通する利益を図る活動を主たる目的としてい ること
イ.定款等に会員が負担するべき金銭(会費)の定めがあること
ウ.主たる事業として収益事情を行なっていないこと
エ.定款に特定の個人または団体に剰余金の分配の権利を与える旨の定めがないこと
オ.定款に解散時の残余財産が特定の個人または団体(国や地方公共団体,公益社団法人および 公益財団法人等は除く)に帰属する旨の定めがないこと
カ.特定の個人または団体に特別の利益を与えたことがないこと
キ.理事およびその親族等である理事の合計数が理事総数の3分の1以下であること
3.収益事業以外の事業にはどのような事業があるか
たとえば、ア.寄附の受け入れ,イ.会員からの会費・入会金は,収益事業による所得ではない項目に該当する。